MFG的SS「虚空の蒼玉」
第32話<ぱうだぁ>

6人は戦闘態勢に入った。
神経を研ぎ澄まし、辺り一帯の物音をさぐる。
そして、かつて聞いた不穏な音が耳のうちに蘇った

ヒタヒタ・・・
ヒタヒタ・・・・・

「(ここは作戦通りにいく。準備はいいか?)」
ムクラの視線に皆は無言で頷いた。
先頭に立っているのはアルテアだ。
 

ゥォオアァォアアァ・・・
不気味なゾンビの声が木霊する。

アルテアは問い掛ける。
「あなたがたの主にお会いしたいのですが・・・」

振りかぶったゾンビを控えの5人で撃ち落とし、アルテアはなおも説得を続ける。
「あなたがたの主にあわせてください!」

すると、不思議なことにゾンビの動きが止まった。
おもむろに一人(?)のゾンビが前に立ち、カクカクと不気味な音を立てて哀れな肉体を揺らしていた。
『・・ウレラノアルジ・・アッテ、イカニス』
そう言うと、ゾンビはかくんと首を「真横に」かしげた。
「森を救うためです。あなたがたも含めて」

『ウレラノアルジ 願イ聞キ入レ・・我ガ身与エシ主
 主ノ願イガ叶ウマデ 森ヲマモルヨウ・・・』

「主の・・・願い?」
「どうやら訳ありっぽいですね・・・」
再三、仲間に確認を取った後でアルテアはもう一度お願いした。

『ワレワカル・・ソチニ敵意ナシ、ワレラヲ天ニ導イタ恩人
 参ラバ。シタガイテクルコト』

どうやらそのゾンビは、先の殲滅戦での生き残りであると同時にリーダー格だったらしい。
6人はゾンビの後を、ゆっくりと歩いてついていった・・。
 

 

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