MFG的SS「虚空の蒼玉」
第29話<悪ポケェ>

そのときだ。50ぐらいの兵士が部屋を取り囲んだ。
「そこのお前ら!動くな!!」
兵長が叫ぶ。
「軍隊さんのお出ましってトコか?」
「確かに法に背いてしまいましたからね・・・。」
兵隊はジリッ、ジリッとこちらに詰め寄ってくる。
「戦わないほうがいいですよね?」
「ああ、やめておいた方が良い。戦えば更に軍を送ってくるはずだ。
ここはおとなしく・・・。」
ムクラとアルテアが両手を上に上げた。
「恐らくこのような状況だとシェイン達も捕らわれているはずだ。
うかつに手を出すと危険だとあっちも降参しているはず。」
目隠しをされ、手を縛られ、薬を飲まされて・・・・眠ってしまった。
 

目が覚めると、既に寝室にきていた。薄汚いが、一応整備されている様だ。
目隠しは既に取られていたが、手はまだ縛られている。
「気がついたか。」
起きてみれば案の定、シェイン達も捕らえられていた。
「あ、二人とも!」
シェインは既に起きていたようだ。
「召喚獣、結局使えなかった。だってあんな大人数よ。」
「そりゃ使えという方がおかしいぞ。」
「それに私が憑けた召喚獣、戦闘用じゃないですしね・・・。」
結局シェイン達も降参したようだ。そのまま捕らえられて、意外なところで合流した。
と、兵士が10人ほど現われた。兵長が言った。
「ついて来い。」
兵士達はそのままシェイン達を連れていった。
「まさか・・・処刑場?」
「んなアホなぁ〜、わてはまだ死にたくないわ。」
「そんな・・・となると冒険ここで終わりじゃない。」
「まだ分からないぞ。とにかく・・・・。」
と談話していると・・・ドアの前で止まった。

ドアが開く・・・。目に映る光景は会議室のような場所だった。
「よく手を上げてくれた。感謝するよ。」
テーブルの一番奥にいたのはおそらく街で一番偉い者のはずだ。その偉い者が席を立ち、礼をした。
「さて、私が言いたいのは他でもない。例の件だ。」
「・・・関所の強行突破ですね。」
アルテアが答えた。
「まあそうだな。その強行突破は確かに法に背いている。
しかし、この事には目を瞑ってやらなければ行けないな・・・。」
「となると・・・あのゾンビ発生の件か?」
ソウが突然答えた。
「うむ、その通りだ。」
偉い者は頷く。
「ちょっと待った、何でソウがそんなこと知ってる。」
ムクラがソウに尋ねた。
「前にあの森に来た時はゾンビなんかいなかったんだよ。ただ魔物達が縄張り争いをしたりしてただけだ。」
「え・・・それじゃあ?」
「そうだ。ゾンビはここ最近になって急に増え始めたんだ。その為に用心棒と関所を建てたのだ。」
「結局公認だったですね。」
アルテアが用心棒のことを言った。
「そうでなきゃどうする・・。
だが君達は知っての通りゾンビは復活するという能力を持っている。
だから我々の鉄砲や剣だけではどうにもならないんだよ。」
「え?復活するんですか?」
「知らなかったのか・・・。何て人たちなんだ・・・。」
偉い者は遂に呆れてしまった。
「普通知ってるだろ。ゾンビは再生能力を持っているって。」
ソウが4人に説明した。
「全然。」
「聞いたこともあらへんわ。」
「第一復活するなんて反則・・・。」
シェインとアルカースとベルギスは明らかに知らない態度をとっていた。
確かにそうだった。明らかにやられた時は体も全く反応しなかったのだ。
「知ってますよ・・・。でもゾンビは光の魔術で跡形もなく消滅すると聞いています。
そして大きな攻撃を加えると復活に時間がかかるって聞いたことが・・・。」
アルテアが答える。3人はああ、そうだったかと納得した。
「そうだ。しかし、それでもゾンビは減らない。
恐らく誰かが森での死者を未完全体で復活させているはず。
だがこちらも相手が誰で、何をしようとしているのかサッパリ分からん。
そこで、お前達がその者を見つけ出して懲らしめて欲しいのだ。」
「そちらの兵力ではどうにかならないのですか?」
「まず無理だ。3日前に1000人の兵を送ったが・・・3人しか帰還していない。」
「そうですか・・・。だから私達にこの依頼を・・・。」
「時間はいつでも良いが、手早くお願いしたい。」

依頼は引き受けた。一応付き添いの兵士が来たが、単なる逃げるなよということらしい。
偉い者はゆっくりと腰掛けて、健闘を祈ると言い再び一礼をした。
時間は大体9時頃だろうか。とにかくここの宿舎で過ごす事となった。

 

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