MFG的SS「虚空の蒼玉」
第30話<フシギダネ石島>

翌朝、前日の騒動で宿舎にいた6人は、
朝霧も霞む時間帯、再び森に向かおうとしていた。
しかし・・・

「引き受けたのはええけどな・・・アルテアとムクラの武器は?」
「そういえば、部屋だな」
「私はあの本だけあれば何とかなるのですが・・・やはり部屋です。」
宿を取っていたアルテアとムクラは、武器を部屋においてきたままだったのだ。
二人は慌てて宿の方に戻ると、事情を説明し、武器を取って戻ってくる。

「待たせたな」
「それじゃぁ、行きましょうか・・・」
「・・・すみません、皆さんに言っておかなければならないことがあるんです」
皆ですっかり森に行く・・・と言うか生かされる気になっていたところで、アルテアが突然口を開いた。
「実は、昨日ろくに休めなかった上に変な薬まで飲まされてしまいましたので・・・ホーリーレインで使った魔力が余り回復していないんです。」
無理もない話である。
魔力とは、精神力。
精神が安定して、肉体的にも疲労していない時ほど魔力の回復は早く、魔術の威力も上がる。
そして、無論その逆も然り。
更に、光魔術と言うのは上級魔術であるために強大な魔力が必要になる。
簡単に言えば、乱発できるものではないということだ。

「そうなると大変だな・・・消滅させるのは難しい、って事かぁ」
「せやな・・・早いとこその頭を叩かんと」
「すみません・・・お役に立てなくて・・・」
アルテアは本当にすまなそうにしている。
が、元の原因は無理に連行した兵士達の方にあるのだが・・・

「あ、その代わり・・・というのもなんですけど、昨日お憑けした召喚獣で、敵が近くにいればすぐにサーチできますから。」
「便利なもんだけど・・・・どういう姿をしてるのか一回くらい見ておかないと。」
「そうだねぇ。とりあえず名前わからないけど・・・・出ろっ!」
シェインが弓を取り出してそういうと、目の前に魔法陣が現れた。
そして、そこから煙とともに何かが飛び出した。

 

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