MFG的SS「虚空の蒼玉」
第24話<悪ポケェ>

 「さて、ここからは・・・・・。」
「一番近いのがあの街。」
「何かとても発展してそうです。」
「せやけどあの森見てみ・・・。深そうやで。」
「あの森を越えるのは難しいな。それに魔物の巣窟なんだ。」
「俺は一度行ったことがあるんだが・・・悲惨だったよ。次々と襲ってくる。」

街を出た6人は小高い丘から街を眺めた。
だが、そこに到着する為の手段がどうしても1つしかない。森に入ることだ。
ソウは一度だけその森に入った経験があったが悲惨な状態だった。
魔物同士がテリトリーを争ったり、血の臭いがぷんぷんするらしい。
もちろん人間も襲い、日々の死者が耐えない。
さらに今はこんな噂まで流れている。死者が不完全な状態で生き返るのだ。つまりゾンビの事だ。
その為森は現在立ち入り禁止の状態で、入るにしても用心棒を雇わなければならない状態だった。
尚、用心棒を雇うには10万リンクス(100万円)という莫大な金が要るらしい。用心棒の命にも関わる事だから仕方がなかったのだ。

「みんなの力を合わせれば何とかなりますよ。」
シェインが言った。
「・・・・・そうですね。あの場所しか手がありませんよ。」
「行くとするか。」
「せやな!」
「(恐怖に怯えるな!今の俺なら大丈夫だ!!)」
「私も・・・行きます。どこまでもついていきます。」
全員が通る事に一致した。
「だけど、門番とかはどうするんです?立ち入り禁止なんだから・・・。
しかも10万リンクスなんてもう残ってないし。」
アルカースが尋ねる。
「まあまあ、ここは普通にアレを使うで。」
ベルギスがニヤリと微笑を浮かべた。

そして森の前の関所。ベルギス一人が門の前へ現れた。
「こら!待て!ここは立ち入り禁止だ!!」
案の定、門番が塞がっていた。
「すんません!あのぉ・・・とおりたいんやけど。」
「だったら、用心棒でも使え!ただし、10万リンクスだ。」
「ほぉほぉ、となるとさぞかしお強いんでしょうな?今からその用心棒を呼んでくれ。」
「?何をするつもりだ?」
「その用心棒と戦うんや。わてが勝てばその用心棒よりも強いって訳やから
そのまま通してもらう。負けたらおとなしく引き下がるわ。」
「・・・まぁいい。5人呼び出して全員勝てたら通してやろう。」
門番は笛を鳴らし、5人を呼び出した。
しかし、様子がおかしい。黒い衣装を体全部にまとっている者を雇った覚えはないのだ。
いつもは筋肉隆々の軍団が出てくるはずだが、正体不明の軍団が出てきた。
「(こんな奴ら・・・雇ったかな?)」
門番は少し疑問に思う。しかし気にせずに続けた。
「いいか!一人ずつで良い!全員倒したらだ!」
「わかっとるがな!よっしゃ、一番弱そうなのは・・・コイツにしたろか。」
右から2番目の者を指した。
者は前に出る。
「(頼むで、アルカース君。あんたの釘が真上にきたら作戦開始や。
そんときは皆が何とかしてくれるな。)」
戦いが始まった。
ベルギスは石を投げる。者は石をなんなく弾き返し、ベルギスに襲いかかる。
「っと。そうきたか。こっちは槍や!」
マントから槍を取り出し、者に対抗する。しかし、振りまわしているだけでほぼ外れに等しかった。
「ふう・・・これを見ていてもな。」
門番は呆れていた。
ベルギスは未だに攻撃を外してばかりいた。不自然に見えるが・・・。
「休憩か・・・。おい逃げるんじゃないぞ、挑戦者。
まあ、あいつらからは逃げられないがな。」
門番は休憩を取るためか、小屋に入っていった。
「(後は代わりの見張り一人だけか・・・)」
者は何か光る物質を手にして上に上げた。
「(・・・作戦開始や!)」
戦っている者以外の黒い衣装の者は衣装を脱ぎ捨てた。
それは、残存組の者たちで皆が森へ走っていった。
「行くで、みんな!強行突破や!!」
 
 

 

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