MFG的SS「虚空の蒼玉」
第25話<ぱうだぁ>

 休憩から戻ってきた門番は唖然とした。
その場に残されていたのは、ただの黒い布のみだったのだから仕方ない。
「してやられた・・あいつら味方同士だったのか」
本来の用心棒とやらは魔法で動きを封じられ、おまけに縄で縛られていた。
「まぁ、何があっても我々の責任にならないのはいいか・・・」
 
 
 

森の中は太陽の光が届かず、暗闇に満ちていた。
時折響く鳥の声はけたたましく、また荒々しい。
6人はどこから襲われてもいいよう、円形の隊列を組んで移動していた。
間接攻撃系のアルテアとシェインを、残りの4人が取り囲んでいる。
「こんなとき、ゼロがいれば助かるのに」
誰ともなく呟いた。

「!!誰か来るぞ!」
ふいにムクラが声を上げた。
はっとして警戒心を強めると、静かな森に奇妙な音が聞えていた。

ヒタヒタ・・・
ヘタヘタ・・・

音は次第に大きくなる。
6人は武器を構えた

「あれ?そんな弓もってたか?」
ソウがシェインの弓を見て言った。
今までの鋼の弓とは違い、ひとまわり大きく白い弓になっていた。
「さきほどの市場で交換しました。軽くていい弓ですよ」
そう言いながら矢を絞った。

茂みの中から、元の形の判らぬ“人ならざる者”が現れる。
「来た!」
木漏れ日が刹那森を照らした。
現れたゾンビの数・・ざっと見積もって300。
「動きは速くない。ただ要所を狙わないと生き返るから落ち着いて撃て」

ゾンビの雄叫びで、殲滅戦の火蓋は落とされた。
 
 

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