MFG的SS「虚空の蒼玉」 MB隊編
第34話<フシギダネ石島>

星と月が輝く時刻。
日は落ち、辺りは暗闇に覆われる。

その、月の光を受けて輝く二つの剣―エターナルソードとシャドゥキャリバー―は、
ひととき動きを止め、どう動こうかと伺っている。

「私でも、流石に2人相手はきついですからね・・・
 貴方達は、またフレイムエンジェルのほうを頼みます。」
「しかし、一人であの大きさの奴に勝てるのかい?」
「問題ない・・・あいつの弱点は、もうわかってる。」

自信を込めて言うと、敵のある1点を見つめる。
予想が正しいなら、攻撃が効かない原因はあそこにあるはずだ、と。

「なら、こっちも負けてはいられんな」
「よーし、いっくよー!」

各々、先ほどと同じ相手に向かっていく。
しかし、互いに何回も打ち合った相手・・・敵の癖などは見えている。

「この炎は・・・一度にたくさん動かす時にはダメージは余りない!」
クレスが、迫ってくる炎を引き裂くように剣を振るうと、
纏まり付く様な炎が、あっさりと掻き消えていく。
消えた後、間髪入れずに巨大な炎が生成されるが・・・・
「でかい方は、打つ前に隙ができる!」
ジルが斧を投げ、打たせる体制に入らせない。

「うっ・・私の攻撃が、見破られた?
 でも・・・ギアンサル様があっちを片付けるまではっ!」



「向こうも頑張っていますねぇ・・・お互い」
「こっちもそろそろ終わらせたいな、小僧。
 どちらかが倒れて・・・な!」

アルタイルのいた地点に、巨大な爪の一撃が通り過ぎる。
地面は抉れているが・・・カウンターで入れたように、その腕には剣戟が叩きこまれている。
そして、当のアルタイルは、その真上にいた。

「なるほど・・・これくらいのスピードには対応できない、ね。」
「一度ならず二度までも、一体何を?!」
「仕掛けさえわかれば簡単ですよ。
 その第3の目・・・それで攻撃を察知すると同時に、体の一部を硬化させることが出来る。
 そして、さっきの2回は両方自分の攻撃タイミングだったはずなのに、攻撃を受けている。
 だから対応できなかった・・・ですね?」

余裕綽々の表情でそう言い放つアルタイルだったが、魔力はそう多く残っていない。
互いに、もう多くの時間は残されていないのだ。

にらみ合いが続き・・・
夜の風が吹き抜ける中、先に動いたのは

「超魔法、“柴弁の螺旋風(ヴァイオレット・トルネード)”!」

アルタイルの上に魔法陣が出現すると、
そこから辺り一面に風が舞い、中に紫色の薔薇の花びらが踊る。
敵を包み込むようにしてその風は吹きつける。

そして、その花びらを振り払うように動くギアンサル。
花びら自体にダメージがあるようなのだが、当たり前のようにほとんど効いていない。

「こんな攻撃、効か・・・」
「残念、こっちはおとり」

声が聞こえて来たのは、ギアンサルの眼の前。

発動と同時に移動。
花びらによって詳しく位置を確認されないのを利用し、急接近していたのである。

「チェックメイト」

目が花びらによって塞がれている敵を見据え、
額を割る様に、その剣の一撃が、深く叩き込まれた。

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