MFG的SS「虚空の蒼玉」 MB隊編
第27話<KAI>

「クロウ 前!」
クロウとフレアの前には極星帝国の軍勢が広がっている。
「…面倒だな。でも 中の様子も気になるし…」
バイクを止め 錬金石と紅玉を取り出す。
「こちらクロウ。クロウ・バズ。誰か応答してくれ。繰り返す こちらクロウ・バズ。応答してくれ…。」
ヒスイとシルバーの錬金石を使い また通信を試みるがレイナの力が強いのだろう。
ヒスイはまったく反応を示さなかった。
だが…紅玉とシルバーの錬金石の様子が今度は変わっていた。
「え…!?えーっと…も、もし…」
「つながった!?」
錬金石は光り輝き 相対的に紅玉の色が沈んでゆく。
「どういうことだ?…まぁいいか。紅玉よ!我が名の下に汝が力を示せ!レゼクション!」
蘇生魔術の応用魔術として用いられる幻影魔術のひとつを唱える。
この魔術によってシルバーの本来の姿を呼び出せるはずだった。
「クロウ!」
魔術自体は間違っていないはずだった。だが 魔術は失敗していた。
そして 失敗した魔術は次元のゆがみを生み出す。

クロウの頭に 一人の少女がよぎった。
「リアス!?」
それから 世界は正常に戻る。その時 すでにシルバーの反応は無くなっていた。
「…失敗するなんて…ここを抜けるしかないのか…」
「E.G.O本部にいるクロウの仲間も錬金石を持っているのよね?」
「持っている…はずです」
「なら…DEEPに持たせて…」
フレアとクロウで道をあけさせ その間をDEEPが 駆け抜けゼロにヒスイウェザーを渡す。
E.G.Oの能力者の力が通用しないならそれ以外の力を渡すまで。
手段は決まった。
「DEEP。必ず届けろよ…水の精霊よ!我が願いに答えよ!」
「あなたは私たちの希望。費やさせはしないわ。炎よ…私の願いに答えて」
クロウとフレア。二人の声が重なる。
「「“バニシングアローズ”!!」」
水の矢と火の鳥が極星帝国軍に向かって突き刺さる。
「武装錬金…アリスフェア TYEP2!風を纏い…切り裂け!」
ブレイカーソードに風の刃を纏わせ それを打ち放つ。
極星帝国軍に隙が出来たところをDEEPが 駆け抜けてゆく。
「…(急いで」
「え?フレアさん何か言いました?」
「クロウ…あなたじゃないの?」
お互いに聞こえた 誰かの声。
「…(儀式を始めるから急いで…今 4魔導士を送ったから…彼女たちと」
「まさか…」
「クラリス様!?」
声の主はクラリス・パラケルスス。だが 彼女はテレパスなどは無かったはず。
するとWIZ-DOM自体が関与していることになる。
テレパスとおぼしき物で会話を聞かされながら―こちらの会話は聞こえていないようだった―
戦闘を続けると いつの間にかクロウの横に水を操る者が
フレアの横に 炎を 地を 風を操る者たちが居た。
「…エレクトラ様…?」
「イオ様にカサンドラ様。それにレダ様まで…」
クロウとフレアは 驚きを隠せなかった。
「私も居ますよ。」
頭上から光弾が降り注ぎ周りに居た極星帝国軍が一掃される。
「あ…ガブリエル様まで?」
「本部には連絡してあります。なので…私たちも急ぎましょう。」
太元帥明王法を打つための準備をWIZ-DOM本部も開始している。
ならば 今自分たちに出来ることは 戦って注目を引きそして それを誘導すること。
願わくばそのまま ゼロたちと合流する。
「WIZ-DOMの真髄をみせてあげようじゃないか。」
言い放ったイオが後ろからの光に照らされる。
アルタイルとアーサーがぶつかった光だが 誰もそのことは知るはずも無く
再び 戦いの渦中へと繰り出して行く。

だが ゼロたちは半透明なシェインの出現で 太元帥明王法どころでは無くなっていた。


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