MFG的SS「虚空の蒼玉」
MB隊編
第17話<フシギダネ石島>
「何故か・・・?まぁいい、これは返しておこう」 そういうと、銀の指輪を投げ渡す。 それを手にしたアルタイルの脳裏に、鹿島神宮攻防戦の時の映像が蘇る。 凍てついた地面、 一撃で叩き折った剣、 倒れているたくさんの敵の兵、 次元弾と敵の部下による決闘の妨害、 逃がしてやったホムンクルスの二人組、 そして・・・力をもってしても不完全な形でしか護れなかった、仲間。 順こそばらばらだが、走馬灯のように駆け抜ける記憶。 そう遠いものではないはずなのに、何故か遠い過去のものとも感じられる。 「これは、また戦う為に貴方に残した誓いの印。“天狼星のシルバーリング”か」 「あの時は、私の部下のせいで決着がつかなかった・・・ それに、君の仲間まで失わせてしまった。だが、今度こそは正真正銘の一騎打ちだ」 「望むところ・・・」 そうは言うものの、 様々な犠牲を払い、戦闘で使える分の魔力も制限された今の体ではあの時のようには行かない。 下手をしたら、この戦いで命を落とすことも考えられる。 「だが・・・負けられない。 私と今共にいる仲間の魂を救うためにも、【星】のタロットに導かれた私自身のためにも! アルタイル=フリューゲル、参る!」 剣を構えなおすと、一気に間合いを詰めるため、乾いた地面を蹴る様に駆け出す。 相手は敬意を払うように避けず、持っている大剣でその一撃を受け止める。 刹那、その凄まじい剣戟の衝撃波と衝突音が辺りに響き渡る。 互いに一歩も譲らない構え・・・・ 騎士の誇りをかけた男達の戦いが、今始まった。 |