MFG的SS「虚空の蒼玉」
第67話<ぱうだぁ>
不思議な夢を見た。 水の神殿の中、自分と全く同じ姿の“女性”と出会う夢。 初めて会うはずだった。だが、何故か自分は彼女を知っている。 「・・・・何かが、終わる・・」 妙な胸騒ぎを抱えたまま、ジェイルは宿の階段を下りていった。 下に降りると、既に朝食の準備は整えられていた。 「おはようございます」 「もう起きて平気なのか?」 ジェイルの姿を見るなり、それぞれが声をかける。 「・・迷惑かけた。もう平気だ」 それだけ告げると、ジェイルもまた食卓の席に加わった。 全く表情が変わらなかったので、ソウが心配そうに声をかけたが それをさらりと流すと 「・・・変な夢見た・・」 と、ぽつりぽつりと2つの夢の話を始めた。 2回も続けて、自分と対極にあたる精神と出会ったのだ。 とりわけ2回目ーーシェインと出会う夢は奇怪でたまらない。 「・・そしたら勝手にどっか行っちまった。実際にもこんなに慌ただしい奴なのか?」 「いや、そうでもないが・・よっぽど嫌だったんだろうな;」 だが慌ただしくないといえば嘘になるかな。 ひょんなムクラの発言に、ジェイルとコローネを除く全員が苦笑する。 「それと、こいつらの意味がようやく判った」 そう言うと、ジェイルはテーブルに“白灰玉”とタロットカードを出す。 「タロットはともかく・・なんで蒼玉が出てくるんや?」 「まずタロット。どうも、無理にコローネに封じてもらわなくても うまくこいつを使えば、シェインも含めて自在にコントロールできるらしい。・・自我が残っていればの話だが」 残ってなければ頼む、とコローネに視線をおくる。 「それからこいつ・・・これは“星”そのものらしい」 「何だって!?」 最初に声を上げたのはムクラとソウの2人。 蒼玉の研究を長く続けていたのだから、無理もない。 「夢で見た水の神殿・・壁画とメッセージ・・ 大きな帆船と、竜骨の一部にぽっかり空いた空洞・・きっとそこに蒼玉がはまる。そしてその蒼玉の位置は・・竜骨座のカノープスと同じ」 「アルゴ船ですか・・」 「ということは、あたしたちの宝玉も何かの星にあたるの?」 リアスが紅玉をもてあそびながら聞いた。 「可能性はあるな。何に当たるかは、自分で見るほかに無いが。 なんか変だと思ってたんだ、最近の星空」 ふと夜空を見上げるように、ジェイルは天井を仰いだ。 「(・・何かが、終わる。間違いなく。 お前が・・帰ってくるのか?そっちの世界での役目が終わるのか?)」 別動隊帰還まで 残り4時間 |