MFG的SS「虚空の蒼玉」
第62話<フシギダネ石島>
宿に戻ってきた一行は、ジェイルをベッドに寝かせた後、テーブルを囲んで集まった。 月は、今一番高いところにある。 「さて、何から話しましょうかね・・・ まず私が何故あそこにいたかだけど、それはアルカースって言う・・・そうね、もう一人の私ってとこかしら? その身体を使わせてもらって、そのあと転移魔法であの現場に飛んだってわけ。」 「そうすると、アルカースは今?」 「今は眠っている、と言う状態。あちらの魔力が回復すれば、交代できるんだけど。」 「だけど・・・っちゅーコトは、まだ無理って事かいな。」 「そうね、あと最低でも2〜3日は。」 そういいつつ、タロットを眺める。 逆位置になった【隠者】。その奥に、アルカースは眠っている。 今は静かに、外とは関わりなく・・・ 「それで、今度はこっちから質問だけど。 貴方達“太陽のロザリオ”も“月のアミュレット”も持ってないの?」 「その二つは・・・確か伝説にある」 「ええ、異次元から来た者たちが元に戻る鍵よ。 そのふたつと、あとはその場所に行くための鍵が必要らしいんだけど・・・そこまでしか調べられなかったわ。」 肩を落として言うコローネ。 調べた二つすら手に入っていない上、鍵の正体はつかめていない。 これでは探しようもないのだ。 そこで、ふとアルテアが口を開く。 「そう・・・ですね、その鍵はこの世界には無いみたいですけど」 「すると、ゼロたちが探しに行った別の力を持つ宝玉って言うのは・・・」 「間違いなさそうね、その鍵自体も、強大な力を持っているから。」 ぱらぱらと、その部分が書かれているページをめくる。 だが、完全に力が無いからなのか・・・その宝玉の名前は、薄く書かれていて読み取れない。 その場の全員が、 外の星を見ながら、別次元に飛んだ者たちの安否を気がかりにしていた。 |