MFG的SS「虚空の蒼玉」
第61話<KAI>

ムクラたちが到着したとき すでにリアスの瞳は戻っていた。
「何があった?そして君…いや 貴方はコローネですね?」
「分かるかしら?」
名前と言動などすでにジェイルから聞いていた。
そこから推測したまでだったが やはり代わっている。
シェインがジェイルに代わったようにアルカースまでがコローネに。
「なぁ 宝玉見せてもらえんか」
ベルギスの質問はリアスの説明を聞いた今 もっともな事であった。
その言葉に頷き コローネが取り出した宝玉の色は黄。
ジェイルの言葉とやはり一致する。
アルカースまでが どこかに消えた。
この事実に場が沈黙する。その空気を始めに破ったのはアルテアだった。
「みなさん。宿に戻ってゆっくり話しませんか?」
「…うん。そうだね…」
錬金石を強く握る右手を体で隠しながらリアスが答えるが その声に力は無かった。
その様子と倒れたジェイルを見ながら ベルギスやムクラたちも同意する。
担がれたジェイルを見ながらリアスは思考する。
「…(必ず裏のジェイルは殺す…それが私と…ジェイル。貴方の幸せの為になるなら…」
さらにその様子をコローネが 観察することに気が付かないかのように。
「(あの子が最後の希望…あの人の話が本当とは思えないけど…クロウ…そして裏世界で出会った意識…ツバキ…
 (…いつか本来の体に戻す。その鍵となる子…」
歯車はすでに動き出している。
それを止める手段は 在るのかないのか。それはまだ 誰にも分からない。
だが コローネは思う。
「太陽のロザリオ、月のアミュレット
 ふたつが共に宇宙(そら)の祭壇に揃いしとき
 新たなる力が生まれ、星空の力を持つ旅人達の思いを叶えるであろう
 …早くしないと時間が足りなくなるかしら…」
「なんか言ったか?え〜と…コローネ…」
「いえ 別に。それと呼び捨てでいいわ。下手にさん付けされても…ね」


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