MFG的SS「虚空の蒼玉」
第60話<ぱうだぁ>

黒い鎖で動きを封じられたジェイルは、忌々しそうな眼差しをコローネに向ける。
否、それはある意味で感謝なのかもしれない。
「・・・コローネ・・マタ、俺ヲ封ジルノカ?」
「当然よ。相変わらずコントロールが下手なんだから」
ジェイルは低く唸る。
そして、同じく動きを封じられたリアスに視線を移す。
「思イ出シタゾ・・リアス・バズ。アノ時逃ゲ出シタ最後ノ1人
 臆病ナ小娘・・今ガ好機ダトイウノニ」
「いい加減にしなさい。その姿、見られたくないのでしょう?」
「サアナ・・。昼間ノ俺ハ、嫌ガルラシイガ」
コローネはさらさらと、空間に紋様を描き出す。
「いくわよ、“クロウズゲート”!」
魔法が発動し、黒い光に呑み込まれる直前、獣の瞳はリアスを睨め付け、

「今回ハ逃シテヤル・・忘レルナ、イツカオ前ヲコノ手デ引キ裂イテヤル・・」

と言い放った。
精神を閉じこめられる苦悶の雄叫びが、立待月の夜に響く。
「・・・私だって、あんたを絶対殺してやる。それまで首洗って待っておきなさい」
 

ムクラ達が到着したときには既に獣の姿はなく、
複雑な表情をうかべるリアスと、いないはずの“アルカース”。
そして、茂みに横たわるジェイル。
「大丈夫、そのうち目を覚ましますから」
コローネは微笑んだ。
最初は不審に思ったムクラ達であったが、その口調と声から彼をコローネだと判断したのだった。
 
 
 

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