MFG的SS「虚空の蒼玉」
第59話<フシギダネ石島>

何もない空間・・・夢の中で、アルカースは決断を迫られていた。
今、コローネに任せれば事は解決するだろう。
だが、そのあと自分はどうなるのか・・・

しかし、今はそんなことも言っていられない。

「わかりました、ここは・・・貴方に任せます!」
「では、【隠者】の名の下に、契約執行!」

タロットカードに力が集まり、
その瞬間、絵柄がリバースへと変わる。

「後は、頼みました。」
「任せときなさい、ゆっくり休んでおいてね。」

アルカースの意識は、そこで途絶えた。
 
 

そして、アルカース―否、今はコローネ―は
宿のベッドから身を起こすと、“自分”の身体を確認する。

「問題ないみたいね。
 さて、じゃ早速行きましょうか。」

右腕に力を集め、宙に魔力で文字を書き示す。
自分の周りを一周するように書き終えると、
呪文詠唱をするかしないかのうちに、影となってそこから転移された。
そして、その転移先は・・・
 
 

森の中では、既にリアスとジェイルの戦闘が始まっていた。
戦いが始まってから既に長い時間が経過しているのだが、
攻撃を繰り出すものの、身軽さにかけても互いに引けをとっていない。
しかも、誰かの妨害呪文が発動しているのか、リアスは炎魔術が封じられているのだった。
そんなわけで、お互いにいまだ有効打を与えられていない。

「えーい、もう・・・炎魔術が使えれば、そんなに苦労しないのに!」

そう呟きながら振るったリアスの鎌が宙を切る、
それと同時にジェイルがその場を離れ、攻撃に転じる。
しかし、鎌を振った勢いを利用し、リアスもその場を離脱する。
「当たらなければどうと言うことは無い」とは言うが、
ここまで全く当たらない戦いと言うのも、そうはないだろう。

だが、そんな戦いも、そうは長く続かないのである。

「・・・制限時刻。武装解除」
「えー、ちょっとこんなときにっ!」

レディアムが、元の錬金石に戻っていく。
それを好機とみたのか、ジェイルの爪がリアスに迫る。

・・・しかし、それは手前で止まった。
影から伸びる、黒い鎖によってジェイルとリアスの動きが封じられたのだ。

「・・・間に合ったみたいね。
 “シャドゥゲート”で照準つけるのが大変だったのよ?」

森の影から姿を現したのは、あのコローネだった。

 

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