結局、その後夕食の時間になっても、ジェイルが帰ってくることはなかった。
月が高く昇り、町の明かりは少しづつ消えゆく。
夕食の席も、皆心配した様子である。
「遅いなぁ、ジェイルさん。」
「そうですね・・・
あ、そういえば、ベルギスさんは夜はなんともないんですか?」
ふいに、アルテアがそんな質問をする。
以前、吸血鬼としての力を持っている、ということを知っていたからだ。
肉を食べていた途中のベルギスは、急いでそれを飲み込むと自分の身体を確かめるように
「別になんともあらへんけど、急に何なんや?」
「いえ、異種とのハーフになると、普段は人間でも、
時間によって力が変化したり、半分の力が暴走したりすることが、あるみたいですので。」
「変化がないということは、完全に封じているって事ですよね?
それって、逆に言うともしかして・・・」
「アルカース、何か心当たりでもあるのか?」
アルカースが思い出すように呟く。
ジェイルの、あの瞳の色を。
気のせいかもしれない・・・そんな否定したい感情を込めつつ、
勇気を持って言ってみる。
「ジェイルさんの眼の色、さっき出て行ったときには違ったんですよ。
だから、もしかしたら・・・」
そういうと同時、アルカースの後ろの茂みから、風を切るような音が聞こえてきた。
鋭く、何かを求めるように。
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