MFG的SS「虚空の蒼玉」
第50話<ぱうだぁ>
午後も、引き続き魔法の練習をしていた。
午前中と違うのは・・ジェイルが何もせず様子を見ているだけということか。 呆けたように空を眺めているジェイルの元に、小さなーー午前よりは大きめのーー火の玉がひとつ飛んでくる。 「・・いきなり何しやがる!」 「大分慣れてきたところで、宣戦布告や! 魔法使えんことはないんやろ?」 氷と炎、自分に分があると見込んだ挑戦だった。 それを聞いたジェイルはしれっとした眼差しをベルギスに返す。 「使えなくはない。ってか、そんなつまらんことで魔力つかうなよ・・」 「使えるんやな。よしきた」 すぐに、ベルギスは詠唱を開始する。 短い詠唱の後、掲げた手の上に現われる巨大な火の玉。 先程の奇襲は、あれでも手加減したのだろう。 「“ラージ・ファイヤー”や!!」 火の玉は手を離れ、早くないスピードでジェイルの方向へ飛ぶ。 「・・・あーあ、めんどくせー奴;」 ようやく立ち上がったジェイルは、詠唱とともに両手を合わせ、不思議な『組み手』を作る。
バキン!! と大きな音の後、氷の塊が地上に落ちる。
「・・ベルギス、と言ったか・・よく、“もう一つの自分”を封印できたものだ・・」
「(夜が来る・・夜が来れば、どうしても血が騒ぐ・・)」
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