MFG的SS「虚空の蒼玉」
第47話<KAI>

「待っててばー!」
シェインが蒼玉を追いかけている。
が 実際は蒼玉が離れすぎないように そして近づき過ぎないように動いたり止まったりしていた。
シェインを ある一点へと導くために…。
 

「ねー。こっちに にーさんの反応があるの?」
「肯定。シルバーの反応の拡大を確認」
廃墟の中を 少女が錬金石を手に歩いている。
「早く会いたいねー。それでねー…」
「対象補足」
笑顔だった少女の顔が一瞬にて引き締まる。
「了解…レディアム…武装錬金」
錬金石を起動させ鎌を手に出現させる。
「さーて この雹鎌“リアス”に合いたいのは誰かな♪」
 

「…シェイン…」
シェインの持つ錬金石が光りだす。
「今度はシルバー?」
「気をつけて…今から降りかかる火の粉を…」
シルバーに言われなくても どこからとも無く殺気を感じる。
だが 相手の姿は見えない。
「(どこに居る…見えないと弓は使えないし…)」
シェインは周りの空気を張り詰めてゆく。
「へへーん。みーつけたっ!」
シェインは 突如後ろから来た声にしゃがみこむ。
その頭上を 鎌が一筋通り過ぎていった。
「うん。ごーかくー。」
「あ 危ないじゃない!」
いつの間にか蒼玉は動きを完全に止めていた。
「きちんと避けたよ?」
「そういう問題じゃなくて!」
「ところでさー。クロウって知ってる?」
少女の声から 爽やかさが消えてゆく。
「何故 クロウさんのことを?」
「知ってるんだ…。よかったー知らなかったら倒してたよ」
言っていることがさりげなく危ないことをシェインは汗をかきながらも流す。
「それで貴女は?」
「私はねークロウを探してるリアスっていうの」
「…制限時刻。武装解除」
鎌から錬金石へ自動的に戻ってゆく。
「クロウさんを?」
「うん。だからね…ねーさんにも探してほしいな」
「そのつもりだけど…」
「ありがとっ!じゃぁえいっ!」
リアスと名乗った少女は シェインを突き飛ばす。
「うそっ!いきなり何を…」
「そっちの世界でがんばって探してねー。私はこっちの世界で探すからー」
リアスの声がだんだんと遠ざかっていく。
 

「(このまま…私は気を失うのかな…)」
どさっ
「痛っ!」
気を失う前に別世界へと着いたようである。
そして シェインの下には…別れたはずのゼロと カレー帝国の方々の姿があった。
「(レイナさん?!……やばい状況かも(汗))」
 

その様子を廃墟の中から蒼玉を通して見守ったリアスは
「…時の精霊よ。我に力を!時空転生!」
世界の扉を超える。目標地点…ジェイル。
 

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