MFG的SS「虚空の蒼玉」
第43話<KAI>

-頭に浮かべるのは 自分が氷の矢を打ち出す姿。
「よし “アイスフロスト”!」
手の先から 水の弓が作られる…が そのまま崩れてしまう。
「惜しいなぁ。もう一度やるしかないか」
そのとき ポケットに入れたままにしていた錬金石が光り始めた。
「なんでまた光るの?」
疑問に思いつつ 取り出したときシェインの頭に何かが語り始めた。
「私の名はシルバー。こうして話すのは・・・初めてですね。シェイン」
「え?」
「あなたが手にしている錬金石。それが今の私です」
「え〜と…この…石が?」
「そうです。魔術に困っているようなので手本を見せようかと…」
錬金石に宿っている何者かの意思。
シェインに話している意識は無い。だが互いの考えが伝わってくる。
伝わってくる意識のままに シェインは錬金石を前にかざす。
「では“サンダーボルト”!」
シェインの手から 正確には錬金石から電撃がほとばしる。
それは庭に生えていた木を砕くには十分な威力を持っていた。
「ふふっ あなたの魔力の活性化には十分だった見たいですね」
「活性化って?ちょっと 待ってよ。シルバー!」
シェインの声を無視して錬金石は輝きを失い 沈黙する。
「…しょうがない。もう一度だけ“アイスフロスト”!」
氷の矢が二本 形成され サンダーボルトで砕かれた木の残骸へと飛んでいく。
残骸はさらに砕け そこから1枚のカードが現れる。

アルテアが今の状況に 驚きながらもカードを手に取る。
それは【女教皇】と書かれた一枚のタロット。
「シェインさん。今の魔術はいったいどうしたんですか?」
問いながら タロットをシェインに手渡す。
「え?あ…この錬金石が・・・」
無言のまま アルテアは本を開く。

「意思があるんですね?」
「そう…みたい。シルバーって名乗ってました。」
今その身に起きたことを 少しずつだがアルテアに伝える。
「体に魔術を通したおかげで 魔術の流れが変わったのかもしれませんね」
本には 何故か錬金術について書かれていた。
 

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