MFG的SS「虚空の蒼玉」
第40話<フシギダネ石島>

翌朝・・・
朝食後に、魔術適正を計るための診断が行われようとしていた。
机の上には昨日のベルギスの戦利品だった本が一冊と、タロットカード。
それと水晶のペンデュラムが置かれている。

「それっぽい感じやなぁ・・・で、誰からやるんや」
「べ、別に誰からやっても変わりませんよ・・・;」
アルテアはそう言ったのだが、結局3人はじゃんけんで順番を決めることにした。
その結果、ベルギス・アルカース・シェインの順と決まる。

適性検査といっても、普通の人が見てわかるものではない。
ペンデュラムを振ってみたり、手を取ってみてみたり、
瞳の中を覗き込んでみたり・・・傍から見るとかなり謎なのだ。
「で、どうなんや?」
本のページをぱらぱらと捲って見てみるアルテアは、なにやら複雑な表情を浮かべている。
「・・・失礼なことをお聞きしますけど、もしかしてヴァンパイアの血を引いていませんか?」
「あー、やっぱ見る人が見いたらばれるか・・・
 こっち来てからどうもそうみたいでな、普段は力は封印してあるんやけど。」
なんと言ったらいいのか困ったように頭を掻くベルギス。
常に血を吸う必要がない真祖らしいので、
力の一部を封印するだけで普通の人間と変わらなくなるのだと言うことだ。
目覚めたとほぼ同時に、無意識のうちに自分を押さえ込んだために、
元の力を解放するとどうなるのかは本人もよくわからないらしい。
とはいえ、元の性質はなかなか変えられないので、日光から身を守る服装になっているのだろう。

「そうですか・・・大きい妖力が感じられたもので、もしやと思いまして。
 適正の方は炎みたいですから、あとで簡単なものを探しておきますね。」
「炎か・・・やっぱなぁ」

診断を終えて、全員自分の得意とする属性が決まったのだが・・・
「・・・それにしても何で皆さんこうやって普通じゃ無いんでしょうか」
アルテアがため息をつきながら言う。
「そんなことこっちだって驚きでしたよ・・・」
「(むしろアルカース君のオーバーな驚き方に驚いたがなぁ・・・」

まぁ、無理もない。あのあとの診断結果も驚きの連続だったのだ。
アルカースは上級魔術である闇の適正があることが判明し、
シェインも同じく上級魔術である光の適正があるというのだ。
副属性としてそれぞれ地(アルカース)と氷(シェイン)が向いている、
と言うことだったが、上級の方は教える方も大変だろう。

闇も光も、簡単な魔術だとしても修得難易度が初級魔術の比ではない。
アルカースの場合、普段の戦闘で釘に込めている力「呪」が
闇魔術の属性付加系の基礎系統に酷似しているとのことだったが、
シェインの場合弓を頑張って覚えたと思ったら魔術の修得まで大変だということなのだ。

「はぁ・・・結構大変な目に遭ってるなぁ;」
「とりあえず最初のうちは初級魔術の勉強をして、
 お二人の専門については追ってやっていきましょう。」
「そうですね・・・よーし、頑張るぞー」

こうして、3人の初級魔術の修行がスタートした。
 
 
 
 
 

→Next