MFG的SS「虚空の蒼玉」
第16話<やまぐち>


「サンダーブレード!」
アーチェという魔女っ娘が手を上にむかって伸ばし、そう唱えたときである。
空中から雷の刃が4人に目掛けて襲ってきた

「やはりそうきたか!」
ゼロは、まるで予想していたかのように一気に身体から静電気を放出した
そして放出された静電気は、きれいな曲線を描き、4人の前に留まった
雷の刃は、その静電気の曲線をレールのようにして、遠くの方に飛んでいった・・・

「何よアイツ! あたしの呪文を防いじゃってぇ!!」
真紅の瞳を大きく開いて、アーチェは怒っていた
呪文を防がれたというのに、弱気になるどころかますます強気になったのだ
「なら、こんどはこの呪文よ!」
「天光満つる所に我はあり、黄泉の門開くところに汝あり・・・・」
上空に暗雲が発ちこめる・・・今度は何が起きるというのだ
「やめろアーチェ! そんなことしたら闘技場が壊れるどころの騒ぎじゃないぞ!」
赤いバンダナをした剣士が急いで止めに掛かる、それほどまで強大な呪文らしい
「もう間に合わないもん! これで最後よ!インディグネィション!!」

先ほどの雷の刃とは比にならないほどの、強烈な雷の束が空から降ってくる
――防ぎきれない! このままでは・・・やられる――
ゼロがそう思ったそのときである

!!?
突如、半透明な皿のようなものが空へと舞い上がった
剣士と魔女っ娘の後ろに影を薄くして立っていた一人の男が投げたものだった

ズバ――――――ン!
半透明な皿が、雷の束を受け止めた・・・
しかし、耐え切れずに皿は割れてしまった・・・またしても雷の束がみんなを襲う
「今だ!」
ゼロは、身体中から静電気を放出し、雷の束に向けて発射した
電気と電気がぶつかり合う・・・鳥肌が立つような嫌な音が聞こえる・・・
だが少し経つと、その嫌な音は消え、天から明るい光が射してきた

「大丈夫か!?」
アルカースは、すぐさま状況を確認する
「大丈夫です」
ゼロはゆっくりと答えた・・・
 (助かった・・・あの皿のようなもののおかげで威力が減っていたんだな・・・)
肩を落として、深呼吸をした
「ふぅ〜・・・助かったみたいや そっれにしてもまぶしかったなぁ」
ベルギスもゆっくりと安心したように言った
「もう、何がどうなっているんだぁ・・・」
シェインは、半ば呆然としながら答えていた

「アーチェ!なんてことやってるんだ!」
赤いバンダナの剣士が、ピンクの髪をポニーテールにしている真紅の瞳の魔女っ娘に怒鳴っていた
「めんごめんご、つい調子に乗っちゃって・・・てへっ♪」
反省しているのだろうか・・・一応
「ふぅ、それにしても危なかった。僕の盾を壊すなんて・・・」
半透明な皿のようなものを投げて、呪文を抑えた男がそう言った

「ところで、そこのみなさん、ひょっとしてMFGって言葉を知っていますか?」
男は続けてそう言った・・・4人は驚いた
「えっ、まさかあなたも蒼玉を持っているのですか?」
シェインは確かめるように聞く
「えぇ、やっぱりそうだったか・・・雰囲気でなんとなく分かったんですが」
この男、カンが良いようだ・・・
「僕はライト=アレキサンです。といってもHNは違いますけどね」
「「「「HNは・・・まさかやまぐちさんで?」」」」
全員が同時に答える
「な、何故分かったんですか!?」
・・・そりゃ、わかるだろう
なんてったって一緒にいた2人が”アレ”なわけだから
おそらく、異世界へ行くときに何かしら頭の中で”アレ”なことを考えていたのだろう・・・

そんなこんなで戦う雰囲気ではなくなっていった7人達であった・・・
 
 

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