MFG的SS「虚空の蒼玉」
第11話<狐猫>

それは太陽が昇る半刻ほど前・・・
「まちやがれー、そこの盗人吸血鬼ー」
「待てといわれて待った奴がこの世に未だかつていたのか?」
そういいながら、更に加速する吸血鬼らしき恰好をした青年。
その手には紙袋を抱えている。
「いねーよ、それでも止まりやがれ」
「いないんだろ?じゃぁいいじゃねぇか」
「良くないー」
後ろを追いかける店員らしき人物から声が上がる。

路地を幾たびか曲がり、店員らしき人物を撒きかけたその時……

すべし

青年はマンガでしかないような音を立てこけていた。
それはもう無様に。

「こっちか? 」
と、いいながら店員らしき人物が駆け寄ってくる
青年は慌てて近くの宿屋に逃げ込むと、そこでもやっぱりこけたらしい。
しかも、今度はマントの中から蒼い玉を落として……

 

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