MFG的SS「虚空の蒼玉」
第10話<ぱうだぁ>

エルフたちの住む集落は、山道を少しそれた谷間にひっそりとたっていた。
所々に練習用の的があるのはさすがというべきだろうか。
「申し遅れたが、我が名はラミールという。まずは構えてみなさい」
シェインは普段通りに、矢を添えて弦を引いた。
「引きが弱い。それと慣れないうちは矢ではなく、弓を遠ざけるように構えなさい」
「あ、はい・・」
今度はわりと楽な力で、すっと構えることが出来た。
だがラミールの注文は多かった。
「弓をもつ手の肘は伸ばし、体全体を使って弦を張る!」
「は、はぃぃぃ;」
その日の特訓は夜まで続いた。
 

一方、残りの4人は夕方ごろに港町に着いた。
途中で出てきた山賊や獣達は、ゼロ達によってあっけなく吹き飛ばされてしまったため、特に苦労することなく到着できた。
どこか懐かしい雰囲気の喧騒が、街を彩っている。
「今日は早めに宿を取って休もう。シェインも後で来るだろうし、最低3日間はいることになるな」
4人は街の入り口にほど近い小さな宿を借りて、そこに入った。
多少狭い部屋だったが、居心地は悪くない。
「ところで、宿代などはどうすればいいんですか?」
薄々気になっていたことをゼロは尋ねた。
「街に闘技場があるんでな。そこで稼げばなんとか・・というか、おまえ達ならお金持ちになれるな」
ムクラは笑った。
「物々交換ってのもあるぜ。ときどき掘り出し物があったりするんだが」
「そうなんですか・・しかし、怪我人がでるのでは?」
「心配ないさ。攻撃対象は人間じゃなくて的だからな」
「(それは闘技場というのか?;)」
引っ掛かる点はいくつかあったが、疲れていたので4人は夕食も食べずに床についた。
 
 

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