MFG的SS「虚空の蒼玉」 MB隊編
第68話<フシギダネ石島>

「あー・・・誰でしたっけ」
「そういえば名乗っていなかった、と言うか初めて会うのだな。
 私はアルタイル=フリューゲルだ・・・後は飛びながらでも話すぞ、そこの怪しい奴」
「怪しいってなぁー;」

否定できないゼロだった。

空を飛びつつ、互いに戦況を確認する。
下を見回すとどこを見ても、一面が凍り付いている。
さながら、氷河期でも来たかのように。

「敵の本拠地から〜と言うことはミリアムの仕業デスね。」
「どうでもいいが、この空間はもうあと20分ももたないだろう。
 それ以内にその元を押さえたとして・・・空間が元通りになる可能性は低い。
 まぁ、今のところ元である“超新星の鍵”を破壊しないように奪取する必要があるが・・・」
「その超新星の鍵、とは・・・もしかして
 あー、そういえば私達って“蒼玉と対になる宝玉”とか言うのを探して来たんでしたー」

すっかり忘れていた、とでもいいたそうな言い方だった。
むしろ、絶対忘れていただろう、間違いない。

「流石にそれを壊すと、元の世界に戻れなくなりますよ
 ・・・元の世界、何処だそこは・・・私が元いたところとは・・・」
「もしもーし」

彼の前で手を振るゼロ。
しかし、アルタイルの目には何も映っていない
・・・いや、映っていたのは一人の・・・女性。


「・・・そんなことはどうでもいい。
 まずはそこへ行かなければ、【力】よ・・・君は奇跡を信じるか」
「え?奇跡なんてのはそこらへんに転がってる・・・いつもは目を向けていないだけ、デスよ」

突然の問いに、素で答えるゼロ。
そしてその問いに答えると同時、目の前に一枚のタロットカードが出現
・・・したが、飛行中であるために、額に張り付いた。

「うぐぅ・・・なんですかこれはー」
「この氷は、奇跡すら凍てつかせる氷気
 スターブリットレジェンド“ブリザードドラゴン”と鍵、そして魔導師が共鳴したものだ。
 それを倒せる自信は・・・あるか」

額についていたタロットカード・・・【力】を手に取ると、決然と答える
そう、たどり着いたそこは、既に極星帝国本拠地
・・・氷塊が無数に出現する、台風の目。

「もちろん・・・救世主と言うのは、奇跡と言うのはピンチの時にこそ現れるんですよ!」
「その通りだ!自分達は最後まで諦めない・・・この剣に誓って!」

下から聞こえた叫び声は、駆けつけたライトのもの。
振り返れば、【愚者】【女教皇】の周辺にある氷気は完全に消滅している。
各地で、皆が戦っている。
それなら、ここに来たものに出来ることは・・・戦いを止めることのみ。

「ならば行くぞ、奇跡が起きるかどうか、この15分で何が出来るか。
 私が命を張ってでも見届けさせてもらおう・・・参る!」

アルタイルに強大な魔力が宿る。
ゼロのテンションも十分。
ライトは既に、村正を抜き放っている。

最終決戦の火蓋が今、切って落とされた。



戦況

ゼロ・ライト・アルタイル、シリウスと交戦状態に突入

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