MFG的SS「虚空の蒼玉」 MB隊編
第60話<フシギダネ石島>

レイナがこちらに向けて走り出す。
そんな中、ふと、ジリアンが口を開く。

「あ、クロウ。
 死の印はあの人のレベルでは当たらないと思うから・・・打つだけ無駄よ」
「・・・もっと早くいって下さいっ!」

彼女の言葉にすっかり脱力してしまったために避けきれず、
アクアブレイカーで大剣の一撃を食い止める。
しかし、力の差は歴然だ。
徐々にこちらが押されていくのがわかる。

「他に何か手は・・・そうか」

敵の剣をはじき、羽で起こす推進力と、己のバックステップで距離を離す。
そして改めて本を開く・・・そこにある術式を確かめながら。
これなら戦わずに済むかもしれない。

そんなことを考えている間にも、相手は向かってくる。
自分の後ろにジリアンがいるのを確かめ、低空飛行状態になってから

「ジリアンさん、一旦ここは頼みます。」
「あんまり長い間は無理よ」

少なく言葉を交わし、クロウはレイナに向かって・・・・その横を素通りする。

「なっ、逃げる気か!」
「一応ここは私が相手をすることになってるの・・・“シャドゥベイン”」

クロウを追うように構えるレイナの目の前に、魔力によるエネルギー弾が打ち込まれる。
レイナが振り返ると、そこに無数のエネルギー弾が降り注ぐ。
それら全てを大剣で防御する頃には、既にクロウの姿は見えなくなっていた。



「WIZ−DOMには面白い術式があるもんだな」

本の1ページを開きつつ、感心するように呟く。
彼の向かう先は・・・

「目立たないが、狙撃ポイントとしては最適だな・・・シェイン」
「えっ、いつの間に?!」

いまだ弓を構えたままの体制で止まっているシェイン。
何かに捕らわれていたかのように、クロウの動きが見えていなかったようだ。
慌ててこちらを振り向く・・・そのシェインの額に、クロウは持っていた本の背の部分でチョップを食らわせる。

「・・・これでいいのか、あっけないなこの術は」

改めて開くページ・・・そこに書かれている術式は“幽体離脱”
相手の肉体を自由に使わせず、一定時間もとの肉体に戻らせないように出来る術だ。

「これでまた戦うことはないだろ・・・そこでおとなしくしててくれ。」

抜け殻の身体にそう言いながら、
レイナと戦っているジリアンの元に、クロウは急いだ。



戦況
クロウ、術発動を終えジリアンの元に向かう
シェイン、幽体離脱中につき戦闘不能


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