MFG的SS「虚空の蒼玉」 MB隊編
第59話<ぱうだぁ>

壊れた廃ビルの瓦礫の影で、シェインはじっと戦況を見ていた。
対峙するレイナ、そして確認するように本を見るクロウ。
あの本を使わせてはいけない。
直感で、シェインはそう感じていた。
「(WIZ-DOMで切り札といえるものは・・もしかしてあの本が!?)」
乏しい知識を絞って思考を巡らせる。
本を使えなくしたところで、クロウが内容を覚えていては無意味。
シェインは、1つの大きな決断を強いられた。

「(私の目的は、レイナさんを援護すること・・そして敵を・・・討つ)」

目標を定め、弓の弦を引く。
SILVERは意志に反応して、矢を生み出す。
「恨まないで、とは言わない・・これも、レイナさんの頼みに答えるため」


前方で、レイナが動いた。
相手の逃げる方向へ矢を打ち込む。
理屈では、判っていた。


「・・・っ!!なんで・・、なんで出来ないのよ・・・!」

自分に叱咤するシェイン。
しかし、手は震え、右手は矢を放してくれない。
「私達は・・・ここで死んだら、どうなるの・・?」
戦場の音の狭間で、シェインは自分の心の弱さを恨んでいた。




「(シェインの援護が・・来ない?まあよい・・)」
張りつめた空気の中、レイナはゆっくりと大剣を構え直す。
「どうしたクロウ・・来ないのならばこちらから行くぞ!!」
レイナは剣を振りかざし、相手の元へ疾走した。




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