MFG的SS「虚空の蒼玉」
MB隊編
第50話<フシギダネ石島>
当然のように、青い光が見えたWIZ−DOM陣営。 「あれは・・・フレアさんたちが向かった方向ですけど、なんなんでしょう」 「覚醒の光、と言うようなものだな。以前一度だけ見たことがあるが。」 ステラは思い出すように空を見上げる。 自分が戦地で重傷を負ったときのことを思い出しつつ・・・ 「そういえば坊や、フリューゲル・・・アルタイルの弟と言っていたな。」 「うん、それがどうかしたの?」 「いや・・・今のを見て思い出したんだ。 お前の兄、アルタイルがこの戦いに参加していなくて良かったと思ってな。」 そう呟き、昔話を始める。 ある地区での戦いで、アルタイルが戦線に加わったことがあった。 その中で少しのミスでステラが重傷を負ったとき、 近くにいたアルタイルから先ほどのような光が満ち、彼女の傷が癒えた。 しかし、それと同時に・・・ 「それと同時に、奴の羽が・・・大きな翼になったんだ。 だがその翼は、片方がぼろぼろだった。」 「・・・!それはガブリエルさんが言っていたあの“片翼の悪魔”?!」 「そう呼ばれたようだな。 光の発生後、奴の力は凄まじく、極星軍を一気に壊滅させた。一人の力でな。」 そしてその後、彼はステラに薔薇を投げ、すぐに何処かへと飛び去ってしまった。 WIZ−DOMでは、その全てを破壊する凄まじい力を恐れ、彼を“片翼の悪魔”と呼んだ。 そういう話だった。 「しかし、私には奴があの姿になったとき、凄く苦しんでいるように見えたからな。 絶対あの力は多様できない・・・自分自身をも苦しめる力だろう。」 確信はない、しかし、あのぼろぼろの羽の意味・・・ 恐らくは、何かが欠けているという現れ。 その欠けているところに、何か感じ取るところがある。 そんな気がしただけだったのだが。 「・・・珍しいですね、ステラさんが男の人の心配なんて」 「悪かったな」 全員、苦笑。 「兄さん・・・良かったね。 こっちにも、こんなに心配してくれている人がいるんだよ。」 誰ともなく呟くと、シグナスは、光のあったほうを見上げる。 そこには、今は空が広がっているだけだった。 一方、外での待機組である。 空間内の様子は、WIZ−DOM謹製の映像中継符によって状況を拾い、 それらをイツキスタンダードリー社の謹製の特大プラズマテレビによって投影する事で、 局地的に観戦することが出来た。 そのテレビを見ている中に、クレスとアーチェもいる。 「なんであたし達も行かないのよー」 「しょうがないよ、アーチェ。 ゼロ君の最終兵器とかいうののために、E.G.Oの人員があと二人必要だって言うから」 昨日の夜。 二人が明日の戦闘に備えて寝ようかと言う時間にゼロがやってきて、 今回の戦闘で必要となるであろう作戦にあと二名、E.G.Oのメンバーが必要なので、 悪いがここは抜けてくれと頼み込みに来たのだ。 勝敗にかかわる事ならばと、クレスがアーチェを説得し、 結局、二人は観戦組となったのである。 「それに、ライト君なら大丈夫さ。安心して僕達も応援しよう。」 「じゃあ、勝って帰ってきたときのために、今のうちから料理の準備でもしておこっかな」 その一言の後、クレスが必死で観戦に引き止めたのは言うまでも無い。 |