MFG的SS「虚空の蒼玉」 MB隊編
第39話<フシギダネ石島>

「え〜っと、カレーは・・・」
「む、まだ食べておらんのか。ほれ」

カレーを求めてきょろきょろと見回していたシグナスに、
目の前から、カレーが大盛りにされた皿が渡される。

「ありがとう、お姉さん。」
「いやなに、これもカレー臣民としての義務と言うものじゃ、遠慮せずに食うと良い」

その大盛りカレーを渡した主は、レイナである。
先ほどまでは例の服装だったのだが、
今は戦闘時と同じ服装に戻っている。
もっとも、元が動きやすそうな服だから、食べる分に支障はないが。

ふと、大きな広間に用意された壇の近くを見る。
すると、既にゼロ達の姿があった。
それを確認すると彼女も、そろそろ行くか、と立ち上がる。

「あれ、どこに行くの?」
「少し皆に話があるのでな・・・・
 まぁ余り心配せずとも良い、君には多分関係のないことだ。」

極星帝国ならびに地球の連合軍の両方から話がある、
ということで、カレー祭り会場にも、祭りの中とは思える緊張が走っていた・・・
「ぁー、テストテスト、聞こえますかー」

が、その一言で緊張は一気に崩れ去ったらしく、
いいのか悪いのか、会場は再び和やかな空気に戻る。

「ふむ、大丈夫そうじゃの、本題に入るとしよう
 我ら極星帝国軍の今回の襲撃に関し、総司令官であったアーサー王の行方が知れぬ。
 更に、我が軍も多大な被害を出しておる故、これ以上の侵攻は行わないものとする
 ・・・しかし」

そこで言葉を一つ区切り、また言葉を続ける。

「戦況は不安定であり、今回の戦闘に関しては勝ち負けがはっきりしていない。
 このまま侵攻を続けるという手段を取らない以上、何らかの形でこの決着をつけようと思う。」
「そこで、余り被害を大きく出さず、戦闘の縮小版のようなものを行おうと思うんです。
 そして、協議の結果決定した人数は各軍18人。
 計36人で、明日の正午から、戦闘用空間において戦闘を行うことにします。
 無論、勝利条件は敵本拠地の陥落、又は全滅・降服のいずれかと言う事で。」

一気に、どよめきが起こる。
この18人に選ばれる以上は軍のために戦え、
しかも勝利に貢献できる人材である必要がある。
特に極星帝国軍は本軍に多数の人員を要しているため、
このたびのE.G.O本部陥落戦に用いている人数は、実はあまりいないのである。

その他、明日の午前10時までに各軍代表のメンバーを選出すること。
武具等の持ち込みは制限されないこと、等が述べられ、発表は終わった。


ゼロの提案と言うことだったが、ライトやクロウは聞かされているはずもなく。
だが特別な力を持った宝玉を捜すために来たわけだから、
戦闘でそれがみられる可能性はある、ということでもある。
「厄介なことになったな・・・ゼロもなかなか凄いことを」
「でもこれで戦いは終わるし、勝てれば問題ないからね。」
「俺達もメンバーに立候補するしかないか・・・
 シグナスにも協力してもらえるかどうか、試してみないとな。」

かくして、カレー祭りの夜は、終焉を迎えようとしていた。

なお、当のシグナスは話されていることなど露も知らず、
大盛りで出てきたカレーと、いまだに格闘していた。



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