MFG的SS「虚空の蒼玉」 MB隊編
第20話<フシギダネ石島>

SILVERの方の反応はなかったが、一つだけでも繋がればありがたい。
しかも、丁度連絡を取りたかったゼロに繋がっている。
どうやら、E.G.O本部の近くに転がっていたらしい。

「繋がったか・・・そっちの様子は?」
「ぁー、マイクと違ってどこに向かって話せばいいんだかわからないんですがー;」
「・・・どこでも大丈夫だ、ある程度近くなら。」
緊急事態だというのに、全く緊張感がなかった。

石は引かれるようにゼロの下に来たと言うことで、
連絡に不調が無いことを確認すると、互いの今の状況を説明しあう。
ゼロは、大体の部隊は殲滅したと言うこと。
クロウは、練金石の再生にはまだ時間がかかると言うこと。
だが、敵を殲滅させたのならあせる必要もない・・・と思ったその時。

「なっ・・・これは・・・」
「おい、どうした?」
「極・・・国の増・・シ・・・ウスにレイナ・・・がっ」
「・・・くっ、通信妨害か。
 しかしレイナだと・・・まずいな。奴か。」

ノイズが入って通信不能になった錬金石を見つめながら、クロウは呟いた。
最初に戦ったドラゴンの軍団を倒した後に名乗っていた、
極星帝国十将軍筆頭、レイナ・アークトゥルス。
あの時感じた力が間違いないなら、そう簡単に勝てる相手ではない。
しかし・・・・今自分が行ってもどうしようもないだろう。

「あと4時間・・・・耐えられるのか?だが、信じるしかない・・・」
「あら、ダークロアの方にはカインと274を向かわせてあげるから、そのことは伝えておくけど。
 あなたもこれを置いておく間に魔力の増強でもしたら?」
「そんな簡単に出来るのか?」
「簡単・・・かどうかはわからないけど、試してみる価値はあるわよ?」

そういうと、クラリスが取り出したのは謎の液体。
クラリス曰く、これを飲んだあとに隣の部屋で“薄く溜め込んだ魔力”を流し込むことにより、
直接的に魔力キャパシティを上げることが出来るらしい。
もちろん、限界を超えるわけだから、少しづつになるのだが、
4時間もあれば、最低今の3倍程度までは引き上げられるらしい。

「よし、やってみるか。」
「そうこなくっちゃ、じゃあこのMJを・・・」
「え、MJだと?!」
「マジックジャマーの略よ、本来は魔力をさえぎるものなんだけど、それに色々混ぜたものなの。
 魔力って結構強いから、流れ込みすぎると死んじゃうのよね。」
「・・・飲んだだけで死ぬMJよりはマシか。」

そういうと、終始笑顔で危険なことを言い続けるクラリスからMJを受け取り、一気に飲み干して隣の部屋に篭る。
焦りと不安を抱えながら、クロウの短期間魔力増強修行が始まった。

「まだ実験したことないけど、大丈夫かしらね・・・」
最後にこう言ったクラリスの言葉は、幸いにもクロウには聞こえていなかった。


ちなみにMJの味の方は、
名前通り途轍もなく不味かったということを付記しておく。

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