MFG的SS「虚空の蒼玉」 MB隊編
第11話<フシギダネ石島>

気絶してしまったクロウを抱え、フレアは防戦を続けていた。
先ほどまでの大型の火の鳥ではなく、小型の火の鳥をたくさん作って防御の体制に入っている。
普段ならば、万が一術者であるフレアに攻撃が来る場合でも容易にかわすことができるのだが、今は大の漢(漢?)を一人背負っている状態なので、うかつに動き回れない。
「もう・・・あと数十分はもつかも知れないけど・・・」
更に、防御のために魔力を消費していて、敵の数を減らすことは出来ない。
つまり、魔力が尽きるまで防戦しなければならないということだった。

そんなことを考えているその時、馴染みの深い声がフレアに届いた。
「お待たせ〜フレアちゃん大丈夫だったかしら?」
「何とか大丈夫です。クロウは魔力が尽きたみたいで気絶してますけど」
「キャパシティが少なそうでしたから、無理ないですね・・・」
そう言ってフレアの前に転移してきたのは、錬金術師であるクラリス・パラケルススと、ガブリエル。
そして、クラリスのお付のホムンクルス、カインだった。
「どうでもいいけどよ、さっさと片付けちまっていいんだろ?」
「ええ・・・でも、実験材料にするからなるべく殺しちゃ駄目よ?」
幼さが残る(といっても実年齢は(以下略)顔で、さらりと難しく危険なことを言い放つクラリス。
「でも、ロンギヌスの槍がないからそれは難しいのでは・・・」
「そうねぇ、この間3本もなくしてしまわなければ・・・ステラちゃんにはそのために行ってもらったのですけれど」
ロンギヌスの槍、とは触れたものの魂に直接ダメージを与えられる、と言うマジック・アイテムで、WIZ−DOM屈指のクリエイターであるクラリスが生きてきた中で培われてきた技術の集大成とも言える武器である。
その武器を、前回阿羅耶識の関東支部である鹿島神宮防衛線の時にフル投入。
戦闘の際すべて無くしたと思われていたのだが、うち2本を阿羅耶識の方で回収してくれたのである。

そんなことを話している間にもドラゴンは襲ってくる。
こちらに襲ってきた数は・・・3匹。
他に転移した魔術師の方に残りの3匹は向かったらしい。

そして、ドラゴンたちのブレスがクラリスたちを襲う、が
「危ないです、“サークル・オブ・プロテクション”!」
ガブリエルの張った防御壁によって、それはいとも容易くはじき返された。

「さて・・・じゃ、反撃開始と行きますか」
カインが楽しそうに言い放つ。
その手にはトライデントが握られていた。

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